特別講演


根井正利博士 特別講演
9月19日(木) 13:15 ~ 14:30 根井正利博士(ペンシルバニア州立大学教授・日本遺伝学会名誉会員)による特別講演をおこないます。皆様ぜひご出席ください。

シンポジウム


S1 [公開シンポジウム]  9月19日(木) 14:45 - 18:30 A会場
  • テーマ
    ミクロ進化とマクロ進化のギャップをどう埋めるのか
  • 世話人
    田中幹子(東京工業大学)、北野潤(国立遺伝学研究所)、岡田典弘(東京工業大学)
  • 概要
    生物の進化は途切れることのない時間軸に沿ってなされるものである。一方、進化のメカニズムを理解する試みとしては、ミクロなスケールからの集団遺伝学•生態遺伝学的アプローチとマクロなスケールからの進化発生学的アプローチに分断されており、双方の研究スタンスには大きなギャップが開いたままである。本シンポジウムでは、特に脊椎動物を題材に研究を展開されている進化発生学と集団遺伝学•生態遺伝学の立場からの演者を招き、ミクロ進化とマクロ進化の研究のギャップを埋めるような新しい研究展開の可能性について議論したい。
  • 共催
    新学術領域研究 「ゲノム・遺伝子相関」
S2 [公開特別シンポジウム ─アジアの遺伝学の最前線─]  9月21日(土) 13:30 - 17:15 A会場
  • テーマ
    Big Advances of Genomics and Molecular Genetics in Asia
  • 世話人
    Takashi Gojobori (NIG), Hiroshi Iwasaki (Tokyo Tech), Toshinori Endo (Hokkaido Univ)
  • 概要
    Biological sciences entered into the new era that BIG DATA gives us new insights to the question "what is life at all?" upon the completion human genome and further proceedings of projects. Genomics aided by bioinformatics and molecular genetics are central to current genetics. Genomics had changed its shape from just determining a single genome sequence into multiple genomes to compare with, and to identify commonness and variation across and within the species, leading to produce BIG DATA, such include 1k to 10k genome sequencing projects. The molecular genetics has soundly been a strong driving force to develop our knowledge of molecular mechanisms of most fundamental mechanisms of genetics, such as DNA replication, transcription, translation and so on. Scientists in Asia have made numerous and important contributions to both fields for decades. Most remarkably, researches in Asia are getting more and more important especially in those discipline. Asian researchers are taking bigger parts of the biological sciences amongst others. The symposium aims at exchanging information to develop better relationships each others in person for future research expansion in Asian countries, considering the importance of Asian research community. We plan six to eight top class researchers studying in Asia and Japan for the talk.
S3 [若手企画公開国際シンポジウム]  9月21日(土) 14:45 - 17:15 B会場
  • テーマ
    How can epigenetic information be used to solve global issues?
  • 世話人
    Diana Buzas (NAIST)、玉田洋介(基礎生物学研究所)
  • 概要
    Multicellular organisms survive and adapt to their environment using their genetic and epigenetic heritage; such partitioning of heritable information ensures higher adaptability. While a stable, irreversible mutation in DNA can lead to new characteristics over generations, and such information is moreover amenable to manipulation for human purposes, less is currently known about how reversible changes in gene expression can constitute inheritance. Also, it remains difficult even to reach a unifying definition of epigenetics, despite the fact that numerous new examples of epigenetic phenomena are rapidly being added to earlier well-documented cases. Our proposed international workshop will introduce cutting-edge epigenetic research, and also address the great potential and excitement regarding the impact of epigenetic research on our society in the future. All speakers will be strongly encouraged to elaborate on the implications of their work for how current global issues can be addressed using epigenetic research, and we will reserve ample time for general discussion.


ワークショップ



WS1 ゲノム発現制御の新展開:転写の開始、伸長、RNAプロセシング (9月19日 14:45 - 16:30)B会場
  • 世話人:山口雄輝(東京工業大学)
  • 概要
    立ち後れていた転写開始後の研究は2000年以降、急速に進展し、遺伝子のプロモーター領域だけでなくコード領域にも種々のepigenetic markが付加されクロマチンレベルの制御を受けていることや、転写とRNAプロセシングが密接に共役していること、すなわちクロマチンからRNAプロセシングまでを含めたRNA合成の各段階が協奏的に進むことが分かってきている。本ワークショップでは哺乳動物に加え、ホヤや線虫といったモデル生物で得られた最新の知見を紹介し、ゲノム発現制御機構の統合的理解に向けた道筋を展望したい。
  • 共催
    新学術領域研究 「転写サイクル」
WS2 ショウジョウバエの最新遺伝学(9月19日 14:45 - 16:30) C会場
  • 世話人:鈴木崇之(東京工業大学)
  • 概要
    ショウジョウバエはその遺伝学的手法に恵まれていたことから、長らく発生生物学のモデル生物として君臨してきた。最近では遺伝学的手法がさらに発展するに及び、さまざまな分野にその裾野を広げている。このセッションでは、日本のショウジョウバエ研究者の中でも新たなる視点を持って、研究に取り組んでいる若手の研究者を集めた。行動学、スモールRNA、成長ホルモン、寄生と共生など、その多様な世界の幅の広さと奥深さを紹介したい。
WS3 染色体編成の変化をもたらす仕組みとその功罪(9月19日 14:45 - 16:30) D会場
  • 世話人:菱田卓(学習院大学)、石井浩二郎(大阪大学)
  • 概要
    染色体の転座、重複、欠失などの染色体再編やLOHは、生命機能の劇的な変化を引き起こすポテンシャルを秘めており、生物進化の主要な原動力の一つである一方で、染色体異数性やヒトの発がんの原因ともなっている。本ワークショップでは、染色体の再編やLOHを引き起こす原因や仕組みに関する分子基盤に加えて、その結果がもたらす生命機能への影響について、若手を中心とする研究者の方々に生物学及び医学的な観点から最前線の研究成果を発表していただく。
WS4 マウス遺伝学が解き明かす生命科学の最前線(9月19日 16:45 - 18:30) B会場
  • 世話人:杉本道彦(理研BRC)、牧野茂(理研BRC)
  • 概要
    マウスは生命現象の基本メカニズムの解明や再生医療など臨床応用を目指した研究において非常に有用なモデル生物として利用されている。その背景として、遺伝的に均一な多数の近交系統が樹立され、各種遺伝子操作技術が利用可能であることに加え、膨大な遺伝情報が整備されているなど、遺伝学的解析のための基盤が充実しているという点が挙げられる。本ワークショップでは、マウスを用いた独自の研究を進める若手・中堅研究者を中心に最新の成果についてご講演をいただき、生命科学研究においてマウス遺伝学が果たす役割について議論したい。
WS5 転移因子と宿主の相互作用(9月19日 16:45 - 18:30) C会場
  • 世話人:一柳健司(九州大学)、佐瀬英俊(沖縄科学技術大学院大学)西原秀典(東京工業大学)
  • 概要
    転移因子は従来「利己的因子」や「ジャンク」と見なされてきたが、近年、宿主の高次生命機能に重要なタンパク質が転移因子から派生している例や転移因子がシス配列として遺伝子発現の制御に関わる例が次々と報告されている。すなわち、転移因子は単なる寄生因子ではなく、宿主の進化に深く関わる重要なゲノム構成要素であるという認識が確立しつつある。本ワークショップでは動植物の転移因子の機能と制御について最新の話題を提供して頂きつつ、俯瞰的な立場から転移因子と宿主の関係について議論したい。
WS6 核酸の機能制御における細菌の分子生物学からの新たな挑戦(9月19日 16:45 - 18:30) D会場
  • 世話人:片山勉(九州大学)、秋山昌広(奈良先端科学技術大学院大学)
  • 概要
    DNA やRNAに対する制御機構の解明は、分子生物学の中心課題である。この課題に対して、大腸菌、枯草菌等のモデル細菌を用いた解析は今なお高い重要性がある。細菌の特性を活用した詳細な分子機構解析や新たな方法論の開発によって、基礎的な教科書を書き換える新たな発見や新展開、これまでは個別に研究されてきた分子システム間の連係機構の解明、ストレス条件下で起こる新たな分子機構の解明等が次々と成されている。このような面から注目すべき基礎研究を発表し、今後の発展について考察したい。

WS7 男女共同参画公開ランチョンワークショップ「優れた科学の芽を皆でサポートするために」 ~20年後の研究推進のために今,私たちができること~ (9月20日 12:15 - 13:45) 来往舍1階シンポジウムスペース

  • 世話人:日本遺伝学会男女共同参画推進特別委員会
  • 概要
    科学分野の男女共同参画の推進を考える上で,研究環境の整備と研究者個人のワークライフバランスの適正化は必須の課題です.様々な施策により研究環境が整えられる一方で,個々の雇用事情は年々厳しさを増しています.職の不安定化や労働契約法の改正,研究者の流動化のなか共働きカップルの同居と子育ては難しくなり,目指すゴールとキャリアパスを描きづらい現状をどう理解し,支援していけばよいのか?若手は何を求め,私たちに何ができるのか?ラウンドテーブルディスカッションで一緒に考え,提案をしてみませんか?

WS8 プレナリーワークショップ― 昨年度のBP賞受賞講演から ― (9月20日 13:45 - 15:00) A会場

  • 世話人:遠藤俊徳(BP賞選考委員長)
  • 概要
    Best Papers賞(BP賞)は,多数の審査員による投票により,全ての一般講演から選ばれる名誉ある賞です.それがどんな講演だったか聴いてみたくありませんか?本大会のプレナリーワークショップでは,前年度BP賞受賞者4名と,BP審査員特別賞1名にお話しいただきます.演者(昨年度演題)は,藤本明洋(肝臓がん27例の全ゲノム解析),愿山 郁(植物DNA損傷チェックポイント因子SOG1 は動物ガン抑制遺伝子p53のカウンターパートか?),林 亜紀(Ers1 因子はヘテロクロマチン蛋白質HP1 を介してヘテロクロマチン上にRNAi機構をリクルートする),幡基友紀(大腸菌鞭毛レギュロンのアンチアクティベーター遺伝子ydiVの発現調節),Diana M Buzas(DNA demethylation in the Arabidopsis thaliana female gametophyte: is DEMETER alone?)で, 4名が女性です(敬称略).講演では新たな展開を含めたお話をお願いしてあり,ベストペーパーとして選ばれた最先端研究成果を,惹きつけるプレゼンテーションでお聴きいただくことができます.ひとりでも多くの方に聴講いただくため,他の講演と重ならない総会直後の枠で開催します.面白い演題がピックアップされておりますので,昨年度は他の講演と重なって聴き損ねた方も聴講でき,聴講した方も新たな展開を聴くことのできる機会となっています.抜け出して,遊びに行ってしまうことのないようお願いします.最後になりますが,プレナリーワークショップは,こうした価値あるBP賞受賞講演をより多くの人に知ってもらおうという趣旨で,五條堀孝遺伝学会前会長の発案によって第82回遺伝学会大会(北海道)から実施され,好評のため本年で4回目を迎えます.満足は保証付です.多くの方のご参集をお待ちしております.

WS9 網羅的ゲノムDNAメチル化解析から現れる新しい生命像(9月21日 13:30 - 15:15) C会場

  • 世話人:小林一三(東京大学)、角谷徹仁(国立遺伝学研究所)
  • 概要
    「DNAのATGC列の上にかぶせられた情報の遺伝」であるエピジェネティクスが、これまで遺伝学が対象としてきた(そして、してこなかった)様々な生命過程で、中心的な役割を果たす事が認識されつつある。そのしくみの中でも「DNAのメチル化」については、最も多く論文が出ているだけでなく、ここ数年新発見が続いている。さらに、技術的にも、次世代シーケンサーや第3世代シーケンサーによるメチローム解読など、進展が著しい。本ワーク ショップで紹介したいのは、最新の網羅的メチローム解析技術によって、エピジェネティクス過程の本質に迫ろうという、最先端での試みである。

WS10 異なるゲノム間の軋轢と協調 ~相互作用のゲノミクス~(9月21日 13:30 - 15:15) D会場

  • 世話人:鈴木剛(大阪教育大)、高橋文(首都大学東京)
  • 概要
    自然界でおこる高次の生命現象は、単純な遺伝学ではなく、複雑に絡み合う遺伝子産物の組合せによる相互作用(ゲノム・遺伝子相関)で決定されることから、遺伝学分野では、動植物問わず様々な階層のゲノム間相互作用の研究がターゲットされている。本ワークショップでは、異種及び同種内のゲノム間での様々な軋轢と協調の背景にある遺伝子ネットワークに焦点をあて、相互作用を生み出す分子機構に対する議論を展開し、新たなアプローチ法を模索する。

WS11 活性酸素の生理機能とその制御機構(9月21日 13:30 - 15:15)E会場

  • 世話人:蓮沼仰嗣(横浜市立大学木原生物学研究所)
  • 概要
    活性酸素は生物の生理機能をエネルギーの側面から制御している。太陽光の強いエネルギーに曝される植物では、強い活性酸素が発生する。活性酸素分子種は概日リズムを制御する。強い活性酸素は、カロテノイドの働きで、生体への作用が緩和される。動物では活性酸素は多くの疾患のみなもとであり、また遺伝子の安定性を制御している。強い活性酸素の消去機構を解析するとともに、その機構を増強する変異を入れる方法を開発した。その結果高収量性の作物の作出に成功した。大気中炭酸ガスの上昇による地球温暖化を緩和する方法を与える。

WS12 接合伝達の新局面:接合伝達システムの温故知新:ゲノム時代での新展開(9月21日 15:30 - 17:15) C会場

  • 世話人:片岡正和(信州大学)、板谷光泰(慶應大学)
  • 概要
    他細胞に長大なDNAを移動させうる接合伝達現象は、細菌界での遺伝子水平伝播による遺伝的多様性獲得機構の主役であると考えられている。また、接合伝達は巨大DNAを水平伝播可能であり、ゲノム操作を中心とした合成生物学やシステム生物学への展開が期待できる。ワークショップでは、この古くから認められている接合伝達システムに深く学び、ゲノム時代でのゲノム操作、ゲノム進化の観点に即した多様な応用展開の可能性を含めて、この魅力的なシステムの新展開を議論したい。
WS13 遺伝子に対する放射線の影響:福島復興に役立つ既存および新規データ(9月21日 15:30 - 17:15) D会場
  • 世話人:Tomoko Y. Steen(Georgetown University)
  • 概要
    福島第一原子炉の事故から2年を迎えた現在も、放射線の生物に対する影響が、まだ確立していない。チェルノビルの事故で、FALLOUTによる影響は、ロシア政府の制限によって、研究が遅れ、人を含むいろんな生物に取り返しのつかない影響を与えた。福島で、その二の足を踏まないためにも遺伝学研究をいち早く進めていくことが必要である。既存する情報をうまく利用して、人および農産物の安全性を確保していく必要がある。
WS14 [公開ワークショップ] 社会における遺伝リテラシーの向上に向けて:学校教育のあり方(9月21日 15:30 - 17:15) E会場
  • 世話人:池内達郎(元・東京医科歯科大学)、向井康比己(大阪教育大学)
  • 概要
    文科省の学習指導要領が改訂され,高校での「生物基礎」(2単位)が昨年4月から,「生物」(4単位)が今年4月からはじまり,新しい教科書が出そろった.遺伝子,DNAの分子レベルでの解説が(遅ればせながら)必修になったことは画期的であるが,メンデルの遺伝法則が中学校に移行し,高校では教えられなくなった.また「ヒトを対象とした身近な遺伝」への扱いに大きな改善はみられない.社会一般に遺伝リテラシーを定着させるために,中・高校での遺伝教育は本来どうあるべきかが問われている.

一般講演

演題申込みは7月16日(火)に締め切りました。多数のお申し込みをありがとうございました。
    講演者の方へ注意事項:
  1. 講演は全てパソコンと液晶プロジェクターによるプレゼンテーションとなります。各自ノートパソコンをご持参ください。
  2. 一般講演の講演時間は1題につき15分(発表12分、質疑応答3分)でおこないます。
    1ベル:10分経過時
    2ベル:12分経過時(発表時間終了、質疑応答開始)
    3ベル:15分経過時(持ち時間終了)
  3. 演題申込みの際、Genes & Genetic Systems誌に掲載する英語要旨を登録しなかった方(To be submitted laterと入力した方)は、下記サイトからご登録をお願い致します。
    https://sv117.wadax.ne.jp/~gsj3-jp/gsjtaikai/endai2.html
    締切日:10月4日(金) 厳守


総会・授賞式・受賞講演

  • 日時:
    9月20日(金)15:15 – 18:30
  • 会場:
    慶應義塾大学 日吉キャンパス 第4校舎独立館 D101

懇親会

  • 日時:
    9月20日(金)18:45 - 20:30
  • 会場:
    慶應義塾大学 日吉キャンパス 生協食堂

ナイトゼミナール

9月19日(木)の夜に、ナイトゼミナール(分野別懇談会)を開催します。分野ごとに5つの会場に分かれて親睦を深める会ですので、お気軽にご出席ください。大会参加者であればどなたでも出席可能です。会場は日吉駅周辺のお店を予定しています。

飛び入り参加も可としますが、人数把握のため、出席希望者は8月31日(土)までに世話人までメールでお申し込みください。お申し込みの際、メールの件名には「ナイトゼミ参加申込み」とお書きください。
多くの皆様のご参加をお待ちしております。

分野

世話人

参加申込み先
[at]をアットマークに変えて送信してください。

集団進化    

寺井洋平(総研大)
堀田耕司(慶應大)

寺井洋平
terai_yohei[at]soken.ac.jp

エピゲノム

一柳健司(九大)
佐瀬英俊(OIST)
相澤康則(東工大)

一柳健司
ichiyanagi[at]bioreg.kyushu-u.ac.jp

分子遺伝    

筒井康博(東工大)
毛谷村賢司(学習院大)
臼井雄彦(阪大)

筒井康博
ytsutsui[at]bio.titech.ac.jp

行動発生

鈴木崇之(東工大)
田中幹子(東工大)

鈴木崇之
suzukit[at]bio.titech.ac.jp

植物

川浦香奈子(横市大)
河邊昭(京産大)

川浦香奈子
kawaura[at]yokohama-cu.ac.jp

 

公開市民講座

  • テーマ 「ゲノム研究が切り拓く新しい地平線」
  • 日時 平成25年9月21日(土) 17:30~20:00
  • 会場 慶應義塾大学 日吉キャンパス 第4校舎独立館 D101
  • 共催 慶應義塾大学自然科学研究教育センター
    ※入場無料、申込不要です。会場まで直接お越し下さい。
  • 概要
    近年のゲノム科学の進歩は目覚ましいものであり、その最先端の技術が医療や新薬開発に応用されつつある一方で、生物の遺伝学・進化学においても新たな発見を次々と生み出しています。最先端のゲノム解析技術によって遺伝学の何がどこまで明らかになっており、それが人類に何をもたらすのか。これは21世紀を生きる私たちにとって極めて関心が高く、重要なテーマではないでしょうか。例えば、生活習慣病のように頻度の高い疾患においてもゲノム配列の多様性が深く関与していると考えられており、近い将来、個人ゲノム情報に基づいた診断と治療が可能になると考えられております。しかし一方で、個人情報としてのゲノム解読には漠然とした不安と抵抗感を持ってしまうことも否めません。したがって、私達が無用な誤解を持たずに健康で安全な生活を営むためには、最先端ゲノム研究の成果を正しく理解することが不可欠です。 日本遺伝学会第85回大会では、「最先端のゲノム科学技術が現在そして未来の遺伝学にどのように生かされるのか」を理解するための機会として、公開市民講座を開催します。3名の最先端の研究者による講演に加え、質疑応答や自由な議論の場を設けることにより、一般の人々にとって遠い存在である研究者が何を考え、何を目指しているのかを直接知る機会を提供したいと考えております。入場無料・申込不要ですので、多くの皆様のご参加をお待ちしております。
  • 講演者と演題
    ① 三井 純(東京大学医学部・特任助教)、辻 省次(東京大学医学部・教授)
    「パーソナルゲノム解析が医療を変貌させる」
     現在、ヒトゲノム配列の多様性が,ヒトの病気や薬剤に対する反応の個人差などにどのように関係しているのか?という点が大きな関心を呼ぶようになっている。近年ではヒトの全ゲノム配列も2週間程度で解読できるようになり、ヒトの病気の発症機構を全ゲノム配列の解析(パーソナルゲノム解析)から解き明かすことが可能になった。このようなパーソナルゲノム解析は、近い将来、診療の場にも導入され、診断の最適化、治療法の最適化に広く活用され、医療の姿が大きく変貌していくと予測される。

    ② 五條堀 孝(国立遺伝学研究所・教授)
    「ゲノム科学が解き明かす眼の起源と進化」
    地球上の生物がもつ多様で複雑な眼は進化の過程で何度も「独立に」出現してきたものと考えられてきた。しかし、最近のゲノム科学を用いた解析から、眼の構造は「単一起源」から進化してきたのではないかという説が有力視されてきている。さらに最近の生物多様性の研究から、単細胞の真核生物さえも眼のような高度な構造の器官をもつことが分かってきた。最近のゲノム科学は、このような多様な眼の起源と進化の過程を分子レベルから解明することを可能にしてきている。生命体が光を感じそして見ることのできる眼の起源と進化の過程を、最先端のゲノム科学を用いて追跡している現状をご報告する。

    ③ 岡田 典弘(東京工業大学・名誉教授)
    「シーラカンスの全ゲノム決定で解ったこと」
     シーラカンスは進化学上、魚類と陸上四足動物をつなぐミッシングリンクだと考えられている。つまり多くの魚類様の外見的特徴を残しながら、いくつかの器官については四足動物との中間段階を示す特徴を備えている。私達は最近、タンザニア産シーラカンスの全ゲノム配列を決定し、脊椎動物陸上化の軌跡を如実に表していると考えられる興味深い遺伝子をいくつか発見することができた。最新のゲノム解析によって脊椎動物がいかにして水中から陸上へ移行したのかがDNAレベルで明らかになりつつある。